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大言小語 スパイの仕業

 今回のコロナ禍で多くの日本企業が米国や中国企業に対して敗北感を味わっているだろう。

 ▼「意思決定が遅くて、リモートが進まない」「結論が出ない会議が多い」「従業員のサボタージュが目立つ」などなど。だから、米国や中国企業に勝てないんだと、様々な規模の会社内に不満の声が高まっているかもしれない。それは、きっと社内にいるスパイの仕業だ。

 ▼米国の諜報機関であるCIAが1944年に作成したマニュアルが情報公開で明らかにされた。それは、組織を内側から破壊する「サボタージュ・マニュアル」。敵国に潜入したスパイが、組織を内部から破壊して敵国を弱体化する戦術を記したものだ。

 ▼そのマニュアルの一例を挙げると、「(会議では)しつこく反論し、徹底的に説明を求める」「(会議体は)可能な限り大きく」「言葉遣い、時間厳守、決断力を徹底的に議論」「誤解を招きやすい指示を出す」「重要な業務ほど会議を優先」などだ。経営に近い立場にあるときのスパイの振る舞いだ。

 ▼スパイが従業員の立場にあるときの指南もある。「作業はできるだけ中断」「自分より能力が劣るものにスキルや経験を伝えない」「不満を口にし、仕事の妨げは道具などのせいにし、高機能な道具を要求せよ」。

 ▼あなたの会社にも、スパイが潜んでいるかもしれない。もしかすると、あなた自身がスパイなのかも。