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CBRE、21年3月末・リテール調査 銀座・表参道・心斎橋の空室率上昇 高級店の出店ニーズは堅調

 CBRE(日本本社=東京都千代田区)は5月6日、21年3月末におけるリテール市況を発表した。東京・銀座、大阪・心斎橋などで空室率は上昇が続いており、賃料は横ばい基調と、市況の持ち直しは見られない(表参照)。その一方で、好立地へのラグジュアリーブランド(高級愛好品を売るハイブランド)の出店ニーズは堅調さを保っている。調査対象は銀座が161棟、表参道・原宿が236棟、心斎橋が171棟、栄が53棟。対象フロアは店舗ニーズが高い1階に限定。

 東京・銀座エリアの空室率は20年12月末比2.4ポイント増の5.7%となった。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テナントが退店を決めた事例が複数あったことが要因で、募集空室は増えている。賃料(ハイストリート賃料。サンプル調査に基づく想定成約賃料の上限と下限の平均値。共益費込み、月額・1坪当たり)はリテーラー(小売業者)の出店ニーズが弱含んだエリアが見られ、同1.6%減の24万3000円。一方、好立地となる物件では、ラグジュアリーブランドを含む10社近いリテーラーが申し込みを入れた事例があったという。

 東京の表参道・原宿エリアでは、空室率は同2.5ポイント増の5.4%。賃料(同)は横ばいの17万7700円。好立地の物件に対して複数のラグジュアリーブランドが申し込みを入れた事例があった。リテーラーの出店ニーズはあるが、募集空室も増えており、特にセカンダリーエリアの需給バランスは緩んでいるという。同社はコロナ禍の収束が見通せない中、この状況はしばらく続くと予測する。

 大阪・心斎橋エリアの空室率は同2.2ポイント増の8.7%。賃料(同)は横ばいの14万1100円。御堂筋でラグジュアリーブランドの出店ニーズが見られた。しかし、来街者の数自体が減少しており、比較的面積が大きく、賃料総額が高額な物件では、テナントの引き合い数は少ない状況だ。

栄の空室率は横ばい

 名古屋・栄エリアでは、空室率は横ばいの0.0%、賃料(同)も横ばいの7万1500円。大津通にある募集物件では、高級時計ブランドの出店が内定した事例があった。一方、間口が狭い複数階の1棟貸し物件では、リテーラーの引き合いに弱さが見られるという。オペレーションの効率や集客が難しいことから、リテーラーは出店に対して慎重になっている。