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中大規模木造建築が加速 住林・熊谷組、ブランド展開 地所ホームは都有地活用で

 住友林業と熊谷組は3月31日、中大規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げた。資材の調達から建築、コンサルティングまで、環境と健康を両立させる「建築」を提案する。中大規模木造建築は、三井ホームや三菱地所ホームも手掛けており、木質系ハウスメーカーにとって新たな事業分野。政府による脱炭素社会実現に向けた取り組みも後押しとなっている。

 住友林業と熊谷組による「with TREE」ブランドのコンセプトは「環境と健康をともにかなえる建築」。都市の建築に「木」が生む新しい価値を提供し、中大規模建築の木造化・木質化を推進する。

 熊谷組は集合住宅・事務所などの中大規模木造建築建設の受注施工のために木質部材の開発や技術開発を実施。一方、住友林業は脱炭素社会実現のため非住宅の木造化・木質化に注力しており、今後も教育施設や高齢者施設などで実績を増やしていく。

 住友林業と熊谷組は17年の業務・資本提携以来、8つの分野で分科会を立ち上げ、協業に向けた議論を進めてきた。今回は、中大規模木造建築分科会の取り組みとしてブランドを立ち上げた。同プロジェクトの一環として、野村不動産の小規模オフィス「H1O(エイチワンオー)外苑前」(22年10月開業)での取り組みがある。

 一方、住友林業は、15階以上の中大規模木造建築が可能になる、オリジナル木質部材「木ぐるみ CT」が2時間、3時間耐火構造の大臣認定を取得した。「木ぐるみ CT」は、一般流通のCLTや不燃材などを使用した木質構造材。5~14階建ての建物の柱梁部材には2時間耐火構造、15階建て以上では3時間耐火構造が必要となる。「木ぐるみ CT」はこれに対応し、耐火要件では規模にかかわらず木造での建築が可能となった。

地所ホーム、オリジナル構法

 三菱地所ホームは、再開発などによる木造密集市街地解消において、都有地を活用した移転先整備事業に採択された。同事業は、東京都足立区江北4丁目の都有地(776.99m2)に、住宅と店舗を併設する木造3階建ての中大規模建築物を建築。集成材厚板パネルと鉄骨逆梁によるハイブリッド構法「Flat Mass Timber構法」を使った。この構法は、19年10月に特許を取得しており、今回は市街地の不燃化に寄与する建築として採用された。