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ライフル コロナ禍で賃貸、購入で意向の差 「住みたい街」首都圏版

 ライフル(井上高志社長)はこのほど、「21年ライフルホームズ住みたい街ランキング」を発表した。「ライフルホームズ」に掲載された物件のうち問い合わせ数の多かった駅から算出(対象期間は20年1~12月)。コロナ禍の影響で「賃貸は郊外化」「購入は都心と郊外の二極化」という意向の差が顕著になった。

 首都圏版では、「借りて住みたい街」の1位は本厚木(小田急小田原線)となり、2位大宮(JR東北新幹線ほか)、3位葛西(東京メトロ東西線)と続いた。新型コロナの感染拡大により、三密を避ける「ステイ・ホーム」という新しい生活様式の中で、仕事や学校もテレワークやオンライン授業が定着し、比較的住み替えしやすい賃貸ユーザーの問い合わせは郊外化の傾向が鮮明になった。中でも1位の本厚木をはじめ、千葉(6位)、柏(9位)、町田(14位)など、準近郊・郊外でも都心方面へ乗り換えなしでアクセス可能な路線沿いの駅が大きく順位を上げた。対照的に前回まで4年連続1位の池袋が5位に後退したのをはじめ、川崎(3位→10位)、三軒茶屋(6位→16位)、吉祥寺(9位→18位)など都心周辺の人気エリアがランクダウンした。

 首都圏版の「買って住みたい街」では、1位は2年連続で勝どき(都営地下鉄大江戸線)となった。2位の白金高輪(東京メトロ南北線ほか)は前回19位から急上昇。新型コロナ収束後を想定し、利便性と資産性の高さ、あるいはコロナ禍での移動を少なくしたい職住近接ニーズから都心周辺の人気の高さがうかがえる結果になった。一方で、八王子(6位キープ)、柏(15位→7位)、橋本(42位→11位)、平塚(39位→14位)などテレワークの進ちょくに対応して新型コロナ感染回避をイメージした準近郊・郊外も上位に登場した。

 同調査を分析したライフルホームズ総研副所長チーフアナリストの中山登志朗氏は、賃貸ユーザーの「脱・都心」「郊外人気増」について「『都心と同じくらいの広さでより安価な郊外の賃貸物件へ』という住み替えが多い。新型コロナの影響による雇用や所得に関する今後の不安が理由として考えられる」とし、今後も郊外化の意向が拡大するかどうかはコロナ次第と見る。また、購入ユーザーについては簡単には買い替えができないという特有の心理が働き、依然として利便性重視派が多数を占めると分析している。