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大手5社の3月期第3四半期、上方修正や増配も 回復基調も業績分かれる

 3月期決算の大手不動産企業5社(三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス)の第3四半期業績がまとまった。期中を通じて新型コロナの影響を受け、商業施設や宿泊施設が低迷する一方、住宅、オフィスが業績をけん引するという構造で、通期予想を上方修正する企業もあった。今後の新型コロナの影響に関しては不透明感はあるものの、ワクチン接種の普及で今年末以降に正常化するとの期待も出ている。

 21年3月期第3四半期は、全体的には減収が目立ち、減益企業と経費の減少や利益率の改善などで増益となった企業に分かれるという形になっている。マンションの販売は堅調で「販売環境が早期に回復し、期初想定を上回る需要が継続」(三菱地所)という。各社とも契約の進ちょく度も90%を超えている。

 各社ともオフィスの空室率は上昇基調にあるが、業績に与える影響が限定的という結果だった。また、不動産売買市場への影響も「想定よりも限定的」(三井不動産)だったことで、各社の物件売却も堅調だった。

 一方、商業施設やスポーツ施設、宿泊施設は苦戦しており、全体の業績を下押ししている。また、最終期となる1月以降は、2回目の緊急事態宣言の影響が不透明で「商業施設の集客、リパーク(駐車場)の稼働、ホテル・リゾート施設の予約等に影響がみられるため、今度の動向を注視」(三井不動産)するという。

 21年3月期業績予想を上方修正したのは三菱地所で、増配も予定している。物件売却益やオフィス賃料増加が想定を上回ったため。一方、下方修正した野村不動産ホールディングスは、コロナの影響で住宅計上戸数減少と物件売却の先送りといった内容。住宅計上戸数の減少は東急不動産ホールディングスも同様だが、いずれの企業も前回の緊急事態宣言解除後から回復基調にある。