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大言小語 新たな雇用関係

 在宅勤務は「社員が家で本当に仕事をしているかどうか分からない」といった、なんとも陳腐な指摘がある。在宅勤務の本質は従来型「時間管理」からの脱却である。もはや社員を時間で管理することが無意味な時代になったことを理解しなければならない。

 ▼外形的にもすべての社員がパソコンを持つようになったときからオフィスの光景が一変し、会社で一日机の前に座っていたとしてもその人が何をしているかまったく分からなくなった。外形はともかく、本質的にもこれからのホワイトカラーには創造的仕事しか残されていない。つまり、目に見える成果物で管理(評価)するしかないということである。

 ▼今、注目されている「従業員エンゲージメント」という言葉は社員の会社に対する自発的な貢献意欲を意味している。社員と会社とが強い共鳴関係になければ、これからの企業は成長できないという意味合いで使われることが多い。まさに、従来の「時間による管理」とは対極にある概念である。

 ▼在宅勤務のいいところは、会社にいるとどうしても気を使う人間関係から解放され、「自分が会社に貢献できることは何か」に集中できることである。在宅勤務が一般化すると「孤独感を覚える人が増える」というこれまた陳腐な指摘がある。孤独を感じるのは、それこそ家で仕事に集中していないことを自ら明かしているようなものである。