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JLLの21年ビジネス戦略 日本に脚光、売買仲介強化

 JLLは12月2日、オンラインで記者説明会を開き、21年のビジネス戦略を発表した。ポイントには(1)売買仲介部門の強化、(2)オフィス・ワークプレイス戦略のコンサルティング強化、(3)物流セクターの強化――を置く。

 売買仲介強化の背景について、JLL日本法人の河西利信社長は「新型コロナの環境下で、グローバルな投資家の日本の不動産に対する興味が高まっている」と説明する。日本市場には安定性、新型コロナウイルスの影響が欧米と比べて軽微、利回りの厚さがある。同社の調査でも、都市別の商業用不動産投資額では東京がトップになっており、第3四半期(9月末)までのデータでは初のケースという。

 一方、河西社長は「『オフィス不要論』は極論。オフィスの重要性は今後も変わらない。しかし、オフィス戦略そのものは変容を遂げていく」と説明。本社に加え、サテライトオフィス、在宅勤務などもオフィス戦略の中で捉える。企業サイドは在宅勤務を経験し「オフィスでしかできないことを促進するためのつくり込み、拠点の配置を非常に考えている」(河西社長)と言う。戦略策定会議や社員教育などの面から、リアルなコミュニケーションの場所が本社オフィスと捉え、コンサルティングを強化する。

 また、物流セクターは現状で最も成長率が高い分野。人材採用が抑制される中でも物流関係で専門的な賃貸業務や売買業務を行ってきた経験者を採用している。

東京・オフィスは調整局面へ

 同日の説明会では東京、大阪、福岡の不動産市場分析も発表された。東京市場の見通しでは21年のAグレードオフィス賃料は調整局面を迎えるものの、下落局面は限定的と分析する。

 大阪や福岡のオフィス市場は既存ストックに対する新規供給量の割合(20~24年)が東京を上回る。大阪、福岡は優良な物件の供給が多い。同社はオフィス需要の減退局面でも中長期的には入居が決定していくと見ている。