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社説 賃貸管理業法12月15日に一部施行 健全なサブリース市場へ

 サブリース業者による勧誘・契約締結行為の適正化と、賃貸住宅管理業の登録制度の創設を2本柱として今年6月に賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が成立した。このうちサブリース業者と所有者との間の「賃貸借契約(特定賃貸借契約)の適正化に係る措置」の施行日が12月15日に決まった。これを受けて国土交通省ではサブリース分野の適正な業務に向けたガイドラインや法律の解釈・運用の考え方などを策定、公表した。登録制度に先行して不当な勧誘行為の禁止、マスターリース契約締結前の重要事項説明および書面交付、契約締結時の書面交付などの義務化を定めると共に、違反者には業務停止や罰則という厳しい規定を設けたサブリース規制が始まる。

多発するトラブル 賃貸住宅市場では近年、オーナーの高齢化や相続などに伴うサラリーマンオーナーの増加などが顕著で、管理業者に物件管理を委託するなどのオーナーが増加している。特に賃貸経営を一任できる家賃保証や空室保証を伴ったサブリースは賃貸オーナーのニーズが高い。そうした中で家賃の減額や、契約解除など、契約時の説明不足を原因としたトラブルも多発し、社会問題化していた。同規制の導入によってオーナーの誤認解消やトラブル防止につながることなどが期待される。しかしながら同規制は家賃保証や空室保証、契約条件といった重要な事項についてサブリース業者に順守するべき最低基準を示したに過ぎない。法令順守の徹底に加えて、サブリース業者や業界団体はこれまで以上に高い倫理観を持って賃貸オーナーと向き合っていくことが重要となる。

 ガイドラインに示された具体的なポイントは3点。1つ目は、家賃が減額される場合があること、契約期間中でもサブリース業者から解約される場合があることを契約締結前に書面に記載して説明、交付する。2つ目は、家賃保証、空室保証などを記載する際の誇大広告・不当勧誘の禁止。3つ目は、規制対象となる勧誘者については、賃貸住宅の建設請負や土地売買等の際にマスターリース契約の締結を勧める建設業者や不動産業者などに加えて、サブリース業者から勧誘の依頼を受けた既存の賃貸住宅オーナーも対象とされている点にも注意が必要だ。

 国交省では同規制についての理解を深めると同時に、その適切な対応を周知徹底していくため、主要な業界団体に協力を要請。更にオンラインによる説明会も年内に4回予定している。サブリース業者をはじめ業界団体も施行までの限られた時間の中での対応が求められており、法令順守の対応に早急に取り組み、健全なサブリース市場の発展、成長につなげていかなければならない。賃貸管理業全体のコンプライアンスが問われることになる。