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大言小語 疑心暗鬼

 戸建て仲介を主に手掛ける宅建業者に勤めている、家族ぐるみの長い付き合いの知人から、ちょっとした仕事の相談事だといって久しぶりに連絡があった。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言期間中に前後して、日頃から仕事での関わりが少ない人や疎遠だった人たちとはますます音信不通の状態に陥っていただけに、いつもと変わらない元気な肉声を聴いて安心感を覚えると共に、懐かしさも湧き上がってきた。相談事はほどほどに済ませると、すぐさま近況を話し合う長電話になってしまった。

 ▼聞けば、緊急事態宣言が解除されてからというもの、その業者が地盤としている東京・城南エリアでは活発な不動産取引が続いているという。高額な物件は価格調整があるものの、次々と契約済みになっていくそうで、物件確保や仕入れが追いつかない状態。そのためか在宅勤務やテレワークとはまったく無縁で、以前と変わらずに、平日は毎日出社しているそうだ。

 ▼マーケティングを担当しているその知人の最大の関心は、好調なこの勢いが一過性なのか、それとも継続していくのかだ。所得の減少や失業、家賃滞納、廃業、倒産などコロナの影響がじわじわと広がりを見せ、深刻な問題が噴出してきている時期だけに、何事に対しても疑心暗鬼になりがちだが、そうした心の重荷を抱えた日常から、いつか必ず解放される日がくると信じて今を過ごすことが大切だ。