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ニュースが分かる! Q&A シニア事業で異業種連携進む 相続起点に顧客接点強化へ

 先輩社員A 長い梅雨が明けたと思えば、連日の酷暑。外出が難しい夏だったな。

 後輩社員B 新型コロナの影響で春には緊急事態宣言による外出自粛要請もありました。今年は盆の帰省を見送りましたよ。

 A うちも久々に田舎に電話すると、老親が実家の雨どいを全面的にリフォームしたという話になったよ。なんでも近所で仕事をしていた工務店がたまたま実家のそばを通ったときに指摘してきたのがきっかけとかで、「今なら保険が活用できます」と。

 B シニア世代の情報源の格差には私も思うところがありますよ。「ご近所さんもやっていたから」は私の親も口癖ですから。情報に受け身の中、間違いが起きないよう吟味しているのは分かるのですが。

 A 個人的には心配になるときもあるが、我々の住宅・不動産の分野でもシニア市場は開拓しがいのある領域だ。リフォームや相続を意識する年代になれば、日々の企業活動の積み重ねが重要になると思われる。

 B シニア世代へのアプローチといえば、最近は異業種連携も活発ですよね。例えば、ハウスドゥは、高齢者の身元保証サービスなどシニア支援を専門とする(一社)シニア総合サポートセンターと業務提携。同社のハウス・リースバック事業において、シニア世代の身元保証や遺言信託などの生前サポート、遺品整理や死後事務代行などの死後サポートも対応できるようになりました。

 A リースバックサービスといえば、家を売却後に賃貸として引っ越すことなくそのまま住み続けられるもので、老後資金の確保や相続対策などで注目されている。

 B 同社の場合、13年に始動し、累計契約数が1800件(19年12月末時点)を突破しています。契約者のうち65歳以上が約半数を占めるため、これまでも同社ではシニア層が契約中も安心して日々が送れるように、65歳以上の単身契約者向けのコールサービスや草刈り・電球交換などの手伝いサービス(地域限定)を提供しています。今回、生前・死後サポートを拡充することで、更なる利用促進を図る考えのようですね。

 A 地方主要都市を中心にリフォーム済みの中古再生住宅を提供するカチタスも先日、(株)バイセルテクノロジーズとの業務提携を発表した。出張訪問買取を中心とする総合買取サービス「バイセル」は月間2万件以上の査定依頼があり、年代別では50代以上の富裕層が約75%を占めるという。利用者の約6割が自宅整理、遺品整理、生前整理を理由として、出張訪問買取時に不動産の売却等に関する相談を受ける機会が多いという点に目をつけた連携だ。

 B 「バイセル」はテレビコマーシャルで見る機会も多く、シニア層にもなじみのあるタレントの坂上忍さんを起用していますよね。カチタスは物件取得のチャネルが新たに広がることになります。

 A シニアをターゲットとする異業種企業が不動産事業に進出する動きもあるね。

 B ええ。終活関連サービスを提供する(株)鎌倉新書は、8月3日から相続で複雑化した不動産の不安や悩みを解決する新サービス「いい不動産」を始動しました。同社といえば、介護、相続、葬儀、墓などにまつわるサービス展開で有名ですね。

 A 具体的にはどんな取り組みを始めるのかな。 

 B 相続に強い全国の不動産会社や士業とのネットワークを生かし、売却をトータルでサポート。「いい不動産」が窓口となることで、相談者の負担を軽減します。不動産の無料点検によって各社からリフォームの見積もりを取り、活用の道もサポートしていくようです。

 A 不動産相続を含めた死後の手続きをワンストップでサポートする体制を強みにしている点は利用者目線でも心強い。シニア層に対して、心身や手続きの負担を取り除くという視点は信頼構築の上でも不可欠かもしれない。

 B 空き家の多くが相続を起点に発生しているというデータもあります。いざ相続となる前にどんな選択肢を共有しておくのか、親世代と日々の信頼関係づくりを見直しておくタイミングかもしれませんね。