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未来のために 今を乗り越えよう! 在宅ワーク対応で新たな可能性 ソフト重視のマンション管理へ 〝2つの老い〟に光明か 

 ウィズコロナ、アフターコロナに向け、新築住宅市場では早くも激しい競争が始まっている。大手ハウスメーカーもマンションディベロッパーもリモートワーク対応型の間取りやパーテーション(間仕切り)型商品を相次ぎ開発し、手応えを得ているようだ。ただ、これは新築市場だけのことなのだろうか。

 同じく住宅である中古市場にも、チャンスはあると考えられる。例えば〝管理の見える化〟を標榜し始めた中古マンション業界。管理状況を可視化することで、近年、その資産価値の適正評価を目指している。

 老朽化したマンションは、その管理状況の「良し悪し」しか評価の対象がなくなってしまったと思われていたが、実はそうでもなく、今回の〝コロナ禍〟を、むしろチャンスと捉える発想もあるのではないか。例えば、リモート(在宅)ワーク対応型へのリノベーションや、パーテーションなどの設置で、仕事がしやすい環境を整備することで利用価値がアップするのではないか。そうした提案を行う〝創造型管理業務〟への転換だ。

 中古マンションが抱える課題は、建物の老朽化と居住者の高齢化という、いわゆる〝2つの老い〟に象徴されてきた。しかし、もしリモートワークの本格普及で、地方移住や二地域居住のニーズが増えるのであれば、立地に関わらず高齢者が自宅マンションをリモートワーク対応型に改装し、若い世代に賃貸するという選択肢も生まれてくる。そして、高齢者自身は買い物などに便利な駅前マンションや、子供の近くに引っ越すという選択肢が生まれる。

 〝2つの老い〟問題は、居住している高齢者はそこから動けないということを前提にしていたが、郊外でも地方でも、リモートワーク対応型住宅に対するニーズが増えるのであれば、高齢者の住み替えが可能となる。

ソフト面の管理に転換

 こうした中古マンションの管理業務を担うマンション管理会社は、これまで、〝ハード〟面の管理を仕事の中心としてきたが、今後はむしろ〝ソフト〟面を対象とした管理に転換していく時代かもしれない。

 グループ会社を含めると業界トップクラスの管理戸数を抱える大京アステージは、7月から〝DXによる次世代型マンション管理サービス〟プロジェクト開発プロジェクトをスタートさせた。最新テクノロジーを取り入れ、新たな居住サービスとしてウェブ総会やヘルスケアサービスなどを提供していく予定だ。このプロジェクトの責任者である辻禎久取締役は、「管理会社は今後、単純作業はデジタル化し、提案業務の方向に進むべき」と強調する。例えば、マンションの資産価値を維持するためには何をすべきかなど、専門的な提案が管理会社の仕事になると見る。デジタル化で管理業務が効率化できれば、そうした提案業務により多くの人材(社員)を振り向けることができる。〝2つの老い〟脱却の道筋も見えてくる。   

 ウィズコロナ、アフターコロナは、中古住宅市場にも新たな可能性を秘めていると言えそうだ。

コロナ対応でガイドライン

 マンション管理業協会は7月20日、マンション管理業に求められる対応について「マンション管理業における新型コロナウイルス等感染症対応ガイドライン(改訂)」としてまとめた。主な内容は、マンション管理業者としての対応と、企業としての感染防止対策の2つ。

 前半の管理業者としての対応では、管理組合の集会に出席する際や、管理委託契約に基づく業務履行についての注意点を明記。更に、マンション管理関係法令への対応として、感染防止のためには従来通りには集会を開催できないケースがあるため、総会開催などの管理組合の意思決定について、ITを活用した方法なども含めて法務省の見解を掲載している。

 後半の企業としての感染防止策としては、事務所内や配置先のマンションなど職場別の具体的な対応策を列挙した。感染者が確認された場合の対応手順なども解説している。