政策 総合

自治体のコロナ対策 治療、家賃を積極支援 長期化で社会生活へ影響拡大

 各自治体は、新型コロナウイルスの感染症拡大の影響に対して、民間ホテルを借り上げての軽症者用療養施設の追加開設やお掃除ロボットなど最先端ロボットの導入、親が感染した子供の居場所の確保と様々な支援を展開している。

2800室借り上げロボットも導入 東京都

 小池百合子都知事は5月1日の会見で、無症状や軽症の方々を受け入れる宿泊療養施設の確保について、多摩地域で初となるホテル「the  b八王子」(八王子市、196室)と、「アパホテル&リゾート〈両国駅タワー〉」(墨田区、1111室)の2カ所を新たに開設したと説明した。同2カ所を含め、これまで5カ所で合計2800室超を確保した。

 「the b八王子」の運営は、東京都と八王子市・八王子市医師会が共同で行う。また、同ホテルではAI清掃ロボット「Whiz」や入居時のお出迎えに人型ロボット「Pepper」、体温などの体調変化を記録する健康管理アプリケーションなどの最先端技術を活用する。

家賃等融資制度で固定費も融資へ 東京・江戸川区

 東京都江戸川区は、4月24日に決定した「新型コロナウイルス感染症に係わる区独自の総合的な支援策」の中で、すべての区内事業者を対象とした家賃等融資制度の創設を盛り込んだ。

 同制度は、事業継続支援のため、国や都の制度ではカバーできない固定費(店舗・事務所・駐車場等の賃料、設備のリース料)の6カ月分に相当する額(限度額300万円)を融資する。実施時期については現在検討中。

 また、5月7日に「ホテル ルミエール 葛西」(江戸川区中葛西5丁目41の20、152室)を借り上げ、軽症者用療養施設として運用を開始した。同区は11年に締結した災害協定に基づき、スターツホテル開発にホテルの借り上げ転用の相談を行い、同1日に1棟借り上げの契約を締結している。

親が感染した子供に居場所を提供  東京・港区

 東京都港区は4月30日、新型コロナウイルスに両親(ひとり親の場合はその親)が感染し、入院または宿泊施設での療養が必要な場合、同居する子供の居場所として、区内宿泊施設を最大20室借り上げて提供する事業を開始した。

 対象者は、(1)親が新型コロナウイルスに感染し入院または宿泊施設での療養が必要な18歳未満の子供で、PCR検査の結果が陰性であること、(2)児童相談所による保護、病院での入院等他に居場所の確保が困難であること、の両方を満たす者。

 提供場所は、借り上げた区内宿泊施設で、保健所と連携し、専門の保育事業者が24時間常駐する体制を整備する。低年齢の子どもの場合は、保育のほか、食事提供も行う。

 港区の子供家庭課は、原則的には、保健所が児童相談所や病院と協議して子供の保護先を確保するが、濃厚接触者である子供の受入先の確保が難しいと説明し、「現状、感染した親が自宅で子供と一緒に過ごしながら療養せざるを得ない状況が発生している。子供を新型コロナウイルスの感染から守ると共に、親が安心して治療に専念できるため同事業を開始した」と説明した。

 問い合わせ先は、港区子ども家庭支援部子ども家庭課。

旧市民病院を療養施設に活用  横浜市

 横浜市は5月3日、神奈川県が行う「神奈川モデル」の一環として、旧市民病院施設を活用し、新型コロナウイルス感染症の軽症者等を受け入れる「横浜市宿泊療養施設」を開所した。個室9室9名から受け入れを始め、今後の感染状況を見極めながら受け入れ枠を拡大していく。

 同施設は、旧市民病院の旧西病棟2階~5階を宿泊者の居住エリアに、旧西病棟1階を医療従事者の待機場所とする。医師は日中常駐(夜間はオンコール対応)し、看護師と保健師は常駐する。

 問い合わせ先は、横浜市健康福祉局総務部企画課。

福祉施設の個室化改修費を補助 大阪市

 大阪市の松井一郎市長は5月7日、老人福祉施設や児童福祉施設等において、施設内で新型コロナウイルス感染症の感染が疑われる者を空間的に分離するための個室化に要する改修費等を補助する「個室化促進改修費等補助金」の創設を説明した。5月補正予算で3億3000万円を計上する。

 また、大阪府・大阪府医師会などと協力し、「ドライブスルー方式によるPCR検査」を設置・運営することも発表した。新型コロナ受診相談センターへの相談から感染が疑われる患者のうち、保健所長が検査を必要と判断した者を対象に車から降ろさず、窓を開けて検査を実施する。

 「休業要請支援金(府・市町村共同支援金)」(中小企業に100万円、個人事業主に50 万円)については、大阪府から休業の協力要請等を受け、特に深刻な影響(4月の売り上げが前年同月対比で50%以上減少など)を被っている中小企業・個人事業主に府と共同して家賃等の固定費を支援する。府で受付・支給を行う。申請期間は、5月31 日(当日消印有効)まで。