集合住宅と持続可能性 (株)キューブ代表取締役 天宅 毅 ▶(1) 合意形成に依存する意思決定
住宅新報 2020年4月14日 号 3面
阪神・淡路大震災では、集合住宅の持続可能性の限界が顕在化した。それから四半世紀、未だこの問題を解決するには至っていない。近年急増している超高層マンションにおいては、課題は一層深刻である。本連載では、持続可能性獲得に向けた本質的な課題と、その課題の解消に向けた具体的な取り組みを紹介する。
マンションは何か物事を決めようとするときには、必ず区分所有者の合意形成、つまり多数決で決めなければならない。建替えに関して合意形成を得る時、非常に誤解の多い意見調整のイメージがある。
大規模修繕に必要な合意形成の割合は3/4。建替えに必要な合意形成の割合は4/5。大規模修繕に必要な合意形成が得られるのであれば、もう少し頑張れば建替えに必要な合意形成が得られるように思われている。しかし、これは大きな誤解である。
実際は、大規模修繕を望む人は建替えたくないと考えており、両者のベクトルは逆の方向を向いている。従って、大規模修繕から建替えに合意内容を転換する為には、非常に多くの区分所有者の方向転換を必要とする。そして、建替えの合意も大規模修繕の合意も取れない間は、建替えはおろか、修繕する事もできなくなる。建替えに向けた検討を始めると、このように維持管理にも更新にも手がつけられず、放置せざるを得ない状況に陥りやすいという必然が、ほとんど知られていない。この構造は、マンション建替え円滑化法が整備された現在においても、本質的には変わっていない。
























