売買仲介

春賃貸市況ヒアリング 反響減少も成約順調 〝非対面〟強化課題に

 地場会社の動向もヒアリングした。東京・神奈川を中心に賃貸仲介・管理等を営み、年間仲介件数約1000件のエヌアセット(神奈川県川崎市、宮川恒雄社長)。今年1~2月の賃貸市況は新型コロナの影響で転勤や転居を考え直す例が数件あったが、1~3月は前年並みの契約件数で着地する見込み。直接の集客は好調で、1~2月の来店顧客の成約件数は19年同月比で31件増加。成約賃料はコアエリアの空室が少なかったこともあり、やや上昇傾向にあったという。

 同社は外国人スタッフによる外国人の部屋探しも特徴だが、今年は政府の政策で来日できなくなり、申し込みキャンセルや入居延期、ビザ申請ができない留学生もいたという。他方、実際の物件を見ないで決める例や、物件を直接内見する代わりにビデオ内見を選ぶ顧客もいた。同社ではウェブを活用した遠隔地内覧の必要性を強く受け止め、「退去前に申し込みを受け、内覧はウェブというケースも数件実施している。今後は360度画像+ウェブ申し込み+IT重説の3点についてサービス名を決め、出向かなくても部屋を決められることを消費者に発信していく」(ワクワク広報室の松田志暢氏)。

 東京都大田区で賃貸仲介・管理・売買等を行うホワイトホームズ(河津文三社長)。久が原本店と鵜の木店の2店舗を展開する同社も1~2月の賃貸成約件数は合計115件(前年同期比2件増)と順調に推移したが、「2月後半から物件が少なく、通常決まりにくいと思われる一般物件も成約した。業者間クローズの物件が多かった」(同社)。20年1~3月前半の「IT重説」の実施件数は22件で前年同期から倍増。背景には、新築の遠方管理物件を全戸IT重説で対応したこともある。

 他方、新型コロナの影響もあって反響数が減少。売買における買い手の購入意識の減退や法人顧客の様子見を実感しているという。賃貸では東京への転勤がなくなり、申し込みがキャンセルとなった例もあり、「IT重説ができることで、対面回数を減らす気遣いにつながる。余暇時間に社員が他部署の業務もできるようトレーニングし、組織の柔軟性を高めることも重要」(同社)との認識を深めた。