政策

新型コロナで施工遅延 ローン減税適用不可のおそれ 業界団体が危機感示す

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自由民主党は3月19日に不動産協会(不動協)と住宅生産団体連合会(住団連)から住宅・不動産業界への影響についてヒアリングを行った(本紙3月24日号既報)。その中で両団体は、特に中国生産の住宅設備・建材の供給が滞っている状況について強い危機感を示している。

 トイレや温水洗浄便座、ユニットバス、システムキッチン、洗面化粧台、水栓金具など、水回り設備を中心に大手メーカーが軒並み納期遅延や新規受注停止を表明。これに伴い、新築住宅建設工事やリフォーム工事も、完工と施主への引き渡しの遅延を余儀なくされている。こうした状況を受けて両団体が訴えたのは、引き渡しの遅延により住宅ローン減税の適用に支障が出るという可能性だ。

 19年10月の消費増税に伴う住宅取得支援策として、住宅ローン減税の控除期間が3年間延長された。この延長制度の適用条件の一つは、20年12月末までに入居すること。しかし建設に時間を要する新築注文住宅や、販売開始から引き渡しまで通常1、2年を見込む分譲マンションなどでは、設備等の供給遅延が長引けば、20年内の入居が不透明となってしまう。そのため供給事業者は現在、商談で同制度の効果を訴求できていないという。

 加えて住団連によると、既存住宅取得時には一層深刻なケースも懸念される。既存住宅取得時の住宅ローン減税適用要件には、「取得後6カ月以内に入居」がある。そこで例えば、住宅ローンを組んで中古マンションを取得し、入居前に自己資金でリノベーションを行う場合、そのリノベ工事が遅延・中断して期限内に入居できなければ、取得者は住宅ローン減税自体を受けられなくなってしまう危険性がある。

 これらを踏まえ、住団連は租税特別措置法の規定する住宅ローン減税適用要件の緩和を要望。不動協は、次世代住宅ポイント制度等も含め、消費増税対策の支援措置自体の延長を求めた。

 政府は現在、飲食や観光・宿泊など各業界にヒアリングし、それを踏まえた経済対策を検討中。住宅・不動産業界からの要望への対応も含め、近く対策案をまとめるものと見られる。