総合

大言小語 閉じられていない門戸

 これまでを振り返ると、団塊ジュニア世代として、1クラス50人、1学年9クラスの中で学び、数多くのライバルと受験戦争に臨んだ。学業を終えると、バブル経済後にただでさえ少なく門戸の狭くなった就職口を争ったことを思い出す。

 ▼厚生労働省が発表した「人口動態統計」の速報値によると、「21年に90万人を割る」と予想していた日本の出生数だが、2年前倒しで、今年中に下回ることが確実になったようだ。晩婚、生涯の単身暮らしなど、子供を産まなく、産みづらくなった日本の社会・経済の現状を示しているようだ。

 ▼空き家の問題を語るのも、そろそろ辟易してきたと思うが、こうした出生数の状況では、引き続き対策を考え、講じていかざるを得ない。先日のあるセミナーで、東京都内の不動産会社の経営者が語っていたことだが、若者のニーズのパイを奪い合うよりも、いっそ高齢者にターゲットを絞り、住まい探しをサポートしたほうが経営で生き残れると話していた。

 ▼本号1面では、「障がい者雇用」の問題を紹介した。雇用に限らずに住まいでも、外国人、LGBT(性的少数者の総称)、高齢者、障がい者のそれぞれが、差別を受けずに安心して暮らせる社会はいつ訪れるのか。電子契約の導入も同じだが、「様子見」をするのではなく、誰かが先んじて動かなければならない事柄なのだろう。取り組みの門戸は閉じられていないのだから。