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大言小語 宅建試験と景気

 夏の風物詩となっている高校野球も終わり、残暑は続くものの、秋を感じる。不動産業界では秋は資格試験の季節だ。

 ▼数ある資格の中でも、屈指の受験者数を数えるのが、宅地建物取引士資格試験だ。先日、試験実施団体の不動産適正取引推進機構から令和元年度の受験申し込み者数の速報値が発表されたが、その数27万6000人超。前年度比で1万500人余り増え、4%増。士業の資格としては、最も多い数字だ。

 ▼宅建試験の申し込み者数は、実は景気に左右される。80年代は12万~15万人を行ったり来たりだったが、87年に21万9000人と20万人台を超えると、89年は33万人、そしてバブル最盛期の90年には42万人を超えた。その後バブルが崩壊すると、下がり続け、01年には20万4000人まで落ちた。後は微妙なアップダウンを続け、09年リーマンショック後には落ち込んだが、13年以降は増加が続いている。今年の27万人という数字はこれまでなく、近い数字が、92年と08年。これはそれぞれバブル崩壊とリーマンショックの年に当たる。もしかすると景気が落ち込む前兆だろうか。

 ▼宅建試験日の10月20日には、既に消費税率の10%引き上げが行われている。株価の下落や新築マンションの供給が大幅減になるなど景気の行方に陰りが見られる中、どんな状況でその日を迎えるのか。秋を感じて、ふと他愛のないことを想ってみた。