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大言小語 もっと女性を

 新元号「令和」が発表されてからさほど間を置かず、新紙幣が導入されるという話が飛び込んできた。財務省によれば、巧妙化する偽造に対する新技術の導入と技術の承継のためとする。最近すっかり見なくなった二千円札も、その意味合いがあったと。

 ▼ただ、見慣れた顔が代わるのにはいくらか抵抗がある。一万円札の肖像が聖徳太子から福澤諭吉に代わった時もそうだったが、慣れ親しんだ福澤が渋沢栄一になるのも今は違和感がある。そんな話を若い人に言うと、そもそも聖徳太子がお札になっていたことを知らないなどという。調べてみると、福澤諭吉に代わったのは1984年というから35年前。なるほど知らないはずだ。

 ▼ただ、五千円札に津田梅子が登用されるのは、どうだろう。いや、津田梅子がどうというわけではない。現在の五千円札、樋口一葉から津田と、まるでこの枠は女性枠と言わんばかりに切り替えているような気がするのだ。女性活躍を政策の一つの柱としている安倍政権では、女性閣僚や官僚を積極的に登用している。しかし、何かしらの枠を設けてそこで女性を選ぶ。その枠の後任はまた女性で、広がりはない。

 ▼年寄りのひそみや杞憂であればいい。もっと自由に、例えば一万円札に美空ひばり、千円札に女性画家・上村松園を選ぶといった、大胆な発想や複数登場させるといった考えがあってもいい。