総合

大言小語 住まいを担う責任

 レオパレス21の施工不良問題の衝撃と波紋は大きい。1324棟で国土交通省告示や大臣認定に適合しない仕様が見つかった。そのために転居を余儀なくされる人たちやローンを抱えたオーナーの気持ちを思うと気の毒でならない。施工側に生活基盤となる住まいを提供しているという意識はあったのだろうか。

 ▼全国住宅産業協会は東大と共同で実施している「不動産後見アドバイザー」資格講習会を今年から一般開放した。行政や福祉関係者、一般市民などからも受講希望が寄せられたためだ。注目されている背景には高齢化による認知症患者の増加があるが、それだけ日常の中で不動産との関わりが外せないということだろう。

 ▼講師を務めた東大の東啓二氏は、サポートする後見人には様々な法律行為を行う強い権限が与えられているが、〝居住用不動産の処分〟については家庭裁判所の許可を必要とすることに注意を促した。例えば老人ホームに入居するため高齢者の自宅を売却する場合や、暮らしていたアパートの賃貸借契約の解除がその〝処分〟に当たる。持ち家も賃貸も住まいであることの重みは同じだ。

 ▼それにしても、昨今企業による不正問題が多過ぎないか。企業が国民の信頼を失えば社会は崩壊する。まして住宅という生活基盤を担う不動産業界は豊かな国民生活に貢献しているという気概と誇りを、すべての企業が持たなければならない。