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大言小語 住み続けられる地域とは

 限界集落とか、買い物難民という言葉が使われ出したのは20年以上前。最初は地方の中山間地の話だったが、それが地方都市近郊へ、最近では東京周辺の老朽化したニュータウンや団地でも問題になっている。高齢者世帯の割合が増えると、公共交通が不便になり、商店街も郊外大型ショッピングセンターに押されて廃業、シャッター街と化す。車が運転できない高齢者にとっては、病院・医院、役所の用事を含めた日々の暮らしが不便で過酷なものとなる。

 ▼大都市周辺はまだ〝難民人口〟が多いため、目を向ける小売・宅配業やタクシー事業者もいる。だが、地方郊外部となると、切り捨てられ状態が続く。バス便は1日数本まで減り、商店やタクシーの廃業も相次ぎ、買い物は10キロ以上離れたところしかない。地方でも核家族化が進み、子どもたちは別居する形が定着。集落を支えている団塊の世代もいずれ車を手放す時が来る。集落の持続可能性に点滅信号が灯っているのだ。

 ▼そこに生まれ育った人たちは「金の卵」などとして我が国の高度経済成長期を支え、都会で頑張って郊外にマイホームを購入した。その育った家も今住む家も消滅の危機にあるのは何とも皮肉だ。共に必要なのは買い物など日々の暮らしのための「足の確保」である。箱モノではなく、そうした住民サービスにもっとお金を使うべきだ。それが住み続けられる地域としての必須条件である。