総合

大言小語 向き合えば道は拓ける

 最近の住宅・不動産業界における様々なニュースを通じて思うことは、国民のニーズを真剣に把握し、なんとか対応しようとする努力が本格化してきたということだ。その背景には、ニーズそのものの多様化、あるいは国民一人ひとりがいまだ本当のニーズに気付いていないといった事情がありそうだ。

 ▼例えば高齢者向けの住まいについては、ここにきてようやく、多様化するニーズへの対応が本格化してきた。従来は食事や介護サービスを必要とする高齢者を対象にした住宅の考案・開発が中心だった。しかし近年は、〝自立型〟と称するもので、まだまだ元気で生活しているものの、「一人暮らしなので、万一のときが心配」といった将来の不安に応えることができる住宅の研究が盛んになっている。

 ▼国民がまだ気付いていないニーズを掘り起こす動きも強まっている。例えば、中古住宅市場で成功を収めつつある〝ホームステージング〟もその一つ。購入検討者に対し、がらんどうの空き部屋ではなく、新築のモデルルームのように内装や家具で〝具体的な暮らしのイメージ〟を提案する手法が効果を発揮している。

 ▼高齢化や人口減少、そしてやがては世帯数減少が始まる。業界は決して楽観視できない未来を抱えているが、国民のニーズと真剣に向き合う地道な努力を重ねる企業には道は必ず拓けると思う。