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大言小語 差別と区別

 一昔前の話だ。その当時、要望以上の「技術」を持つので、なかなか予約が取れないほどの顧客を抱えていたことから、こう呼ばれたようだが〝カリスマ〟の美容師が「無免許」の営業で問題視された。

 ▼「学歴」については、逆の話がある。有名大学卒のすべてが果たして、ビジネスシーンで優秀かといえば、そうでもない。有名大学卒は企業にとって必要条件かもしれないが、十分条件でなかったことの結果として、人材採用のエントリーシートで大学名の記入を求めない動きもある。

 ▼最近、東京医科大学が揺れている。女性受験生の試験点数を一律に減点操作していた問題だ。試験の「点数」という一つの基準で合否を「区別」する前提であるのに、「性別」という追加の基準で「差別」があったからだ。過酷な労働環境、出産などで離職しがちな女性を考慮した「区別」などと説明している。

 ▼確かに、人材を採用する側からすれば、すぐに辞められては、頭を抱えてしまう。しかし、採否の基準は、「女性だから」であってはならない。また、単なる「学歴」や「点数」でもなく、「技術」や「人格」「素養」などであってほしい。判断は難しいが…。ただ、一般企業では、「女性だから」との理由だけで採否を決めてはいないだろう。なぜなら、人材不足が叫ばれる中、そんなぜいたくをいえないのだから。