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大言小語 紛れる闇はない

 ユーチューブに上げられた1つの動画があっという間にSNSを駆け巡り、波紋を呼んだ。大学アメリカンフットボールの試合という、日本ではマイナーでメディアに頻繁に取り上げられることのないものが多くの人の目に触れた。極めて乱暴なプレーとして。

 ▼対戦したのは関西学院大と日大という昨年の学生王者の座を争った両雄。パスをした関学のクオーターバックの無防備な後ろからタックルを行う日大の選手。タックルされた選手は、腰椎を負傷し全治3週間。日大の選手は、その後交代した別の選手にも同様の行為をし、退場処分となり、対外試合出場禁止となった。

 ▼クオーターバックはゲームの司令塔。球を持っていれば当然タックルの対象だが、投げた後の選手へのタックルは危険行為で、罰則対象だ。そして、もっと深刻なのは内田正人監督の指示があったとされることだ。しかし、監督は試合後、一切表に出てこない。

 ▼これまでなら、映像もなく、闇に紛れてしまっていたかもしれない。これからの時代、軽はずみな行為に落とし前をつけなければならないケースが増えるだろう。不動産の取引においても、ITが導入され、闇が消え、可視化が進んでいく流れもある。この「事件」の決着がどうなるか分からないが、被害を受けた関学の選手はもちろん、日大の選手にも将来がある。その芽を摘まない措置が望まれる。