総合

大言小語 スマホとリュック

 大型連休明けだからか。乗客は減っているはずなのに電車の混雑は改善されず、客同士のトラブルも絶えないと感じるのはなぜか。ふと私鉄幹部の20年前の言葉を思い出した。「男性客がかばんを持ち始めて体積が増えた」と。バブル崩壊でどういうわけか、男どもが荷物を持ち始め、パソコンの携帯も珍しくなくなった時期である。

 ▼その後、荷物を入れる手提げかばんやショルダーバックは大型化し、リュックサックも目立ち始める。スマートフォンが普及した5年ほど前からは、両手が使えるように、かばん類は複雑怪奇な進化を遂げ、背中に担げる大型手提げバックに多種多様なリュックサックも登場した。おかげでスマホとリュックによるトラブルの種は尽きない。

 ▼「リュックサックで四苦八苦」は、京王電鉄のかつてのマナーポスターのフレーズ。ほのぼの感があったが、昨年度は「気づいて!」シリーズに。動物の絵を使って「せまくってつライオン」「コアラこまった」「ケンケンうるさいワン」「シカし、せまい。」と。その場面が一つひとつ浮かぶ人は、並はずれた想像力のある人に違いない。

 ▼昔と違って、多くの人が大型荷物やバッグを持ち込むので、何でもオーケーのような、勘違いの風潮がある。それが自分勝手な人たちを醸成している気もする。通勤電車の中は社会の縮図そのものである。早く希望が持てそうな風景に変わることを望みたい。