総合

大言小語 働き方改革とオフィス需要

 企業業績の好調さ、統合集約ニーズの強さ、更に人材確保のための環境整備を目的に、東京都心部周辺で竣工する大型オフィスビルへのテナントニーズは根強い水準が続いている。今後も供給ラッシュが続くため、いずれ減速感や需要の息切れが起こることは避けられないと見られている。

 ▼不動産各社の業績は最低水準にある空室率と、10年前のリーマンショック後を底に少しずつ引き上げてきた賃料水準のおかげで、最高水準の更新が続いている。そんな中、最近目立って増えているのがシェア・サテライトオフィスや起業家・ベンチャー企業支援・交流型オフィスである。それも東京を代表するビジネス街の著名大型ビルで、テナントが抜けたフロアを切り換えて展開する施設が多い。

 ▼ベンチャー支援型は将来の成長企業への先行投資、種まきと受け止めることもできるし、サテライト・シェア型は大手企業の働き方改革を手助けする施設ともなる。しかし、共に将来的に更に拡大するかとなると未知数で、当面の「テナント穴埋め策」という口の悪い指摘もある。

 ▼だが、働き方改革が進むと、本社機能も大きな床面積を使う必要がなくなり、支店、営業所が大きく減るのは目に見えている。起業家・ベンチャー向けやサテライト・シェアオフィス関連しか需要増が見込めないのだとしたら、現在の動きはオフィス需要を熟知する業界の鋭い読みなのかもしれない。