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大言小語 〝桜〟と住まい

 今年は桜の開花が例年よりも早いという。毎年この時期になると開花宣言や開花予想が連日ニュースとなり、人と会えば咲き具合や見頃が話題に上がる。〝お花見〟の起源は平安時代には貴族の宴だったものが、江戸時代になって大衆行事として広まったらしい。それが今日まで続いているのだから日本人と桜の仲は思いのほか深い。

 ▼深い仲といえば、最近は仲のいい友達同士が一つの家に暮らす「シェアハウス」が一般化してきているようだ。家賃30万円の一住戸を3人で借りて暮らすことができる物件も登場した。ちなみにその賃貸マンションは大型再開発の一画で、昔からの桜並木に面している。気の合う仲間と春には花見ができるような楽しい賃貸住宅が増えると、シェアハウスの普及に弾みがつきそうだ。

 ▼そういえば、最近は〝早く帰りたくなる家〟とか〝自分磨きができる部屋〟などのように、暮らしやスキルアップをテーマにした住まいづくりが盛んだ。仕事から帰った後、家での時間を充実したものにできる点が魅力なのだろう。

 ▼政府や企業は今、働き方改革を推進しているが、人生を豊かにするためには「働き方改革」と「住まい方改革」は車の両輪なのだと思う。コミュニティの重視など〝楽しい暮らし〟ができる住まいの提案は、住宅・不動産業界の領分だ。〝桜〟以上に日本人の感性に合った住まいを創造してもらいたい。