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大言小語 ホテル業界は絶好調?

 訪日外国人観光客の増加もあってホテルは大繁盛に映るが、「実は一昨年後半から前年対比でマイナスが続き、収益面では見た目ほど好調ではない」。シティホテルから宿泊型特化型まで、全国主要都市で多店舗化を進めているホテル会社社長の話だ。〝爆買い騒ぎ〟が収まり「モノからコト消費」といわれるようになって収益は落ち始めた。

 ▼稼働率は90%台の高い水準なのになぜなのか。どうやら予約獲得システムに要因がありそうだ。比較サイトなどインターネットを通じた割引客が高まる一方で、ネット代理店などへのコミッション(紹介手数料)が負担になっているのだ。

 ▼関係者によると、インバウンド客のコミッションは通常、宿泊料金の10~20%と言われ、著名サイトほど高い。ここに利益が食われているようだ。そこで多くのホテルは収益を確保するため、週末は外国人枠を抑制する一方で、実質的に高単価が見込める国内客の枠を広げる形で運営しているという。

 ▼苦肉策とはいえ、宿泊先のサービスはその国、その地域を印象付ける大きな要因でもある。言語対応から接客、各種事務と手配まで、滞在客を迎える様々な能力が求められるのがホテルマンたち。便利なネットシステムが宅配業の現場を疲弊させたばかりだが、ホテルの現場は大丈夫なのか。観光産業の在り方を考えさせる、昨今のにぎわいぶりである。