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大言小語 天才、おそるべし

 昨年9月小欄に中学生棋士誕生の話題を載せた。まさに天才棋士であり、将来が嘱望される存在であると。それから10カ月近く経ち、その時の予測をはるかに超える活躍を見せている。藤井聡太四段、デビュー以来負けなしの26連勝を記録。将棋界最長の28連勝を超えるのではないかとの勢いだ。

 ▼そんなスターを世間も放っておかない。各放送局のニュースでは毎日連勝の話題を伝え、昼食には何を食べたか、その食事を〝勝負メシ〟と名付け、サラリーマンなどが験担ぎで食べる様子や、小中学生を子供に持つ親に作らせる様などを放送。藤井四段のサイン入りの扇子を発売するとあっという間に売り切れ、すぐにオークションサイトで数十倍の値がつくなど社会現象にもなっている。

 ▼こうなると、マスコミがとり上げるのが藤井四段の親の教育方法。我が子にも同じようにということで、多くの親御さんが知りたがる。どういう本を読ませたとか、どういう料理を食べたかとか。同じことをしても同じ効果が出るとは限らないのに。

 ▼そういえば、住宅でも〝頭の良くなる家〟などというコンセプトがはやった。確かに住環境は子供の成育にとって大事ではあるが、頭が良くなるといった効果がそうした家に住むすべての子供に表れるはずもない。そんなことに左右されず、のびのび育てることが、唯一無二の存在を生み出すのでは。