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大言小語 社会が子を育てる

 昨年、成人した我が子が幼少の頃のことだから、もうかれこれ10年以上も昔の話になる。学力、体力は努力し望めばそれなりに学び習得できるが、心の問題はそうはいかないと子育てについてふと考えた。暮らしの中で経験するしつけや人との関わりを通して、身も心も成長し、豊かな人間性を築いていくものだからだ。

 ▼そんなある日、長老たちが暮らす韓国のある村をテレビで特集しているのを目にした。この村では、数カ月、親元を離れ預けられた都会育ちの子供たちが長老たちからの教えを直接学ぶことができる。やがて自宅に帰る日が訪れる。迎えに来た親と再会し、その存在やありがたみを心に刻むというドキュメンタリーだった。儒教の国ならではの実話だ。

 ▼早速、家内にそんな場所が日本にもないものかと話して聞かせたところ、「子供よりあなたが行ってきたら」と言われる始末。ほろにがい子育ての思い出だ。

 ▼出産3人目以降、一人当たりつき100万円を社員に支給してきたアキュラホームの出産祝い金制度が、運用から8年で1億円を超えた。顧客に幸せな暮らしを提供する社員も、同じように幸せであってほしいと願うトップの思いがこの制度導入のきっかけ。これに加えて、育児支援の諸制度も整備されている。同社の取り組みもまた、「社会が子供を育てる」一つの縮図といえる。