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大言小語 都市と地方の格差

 「一喜一憂」とまではいかないが、住んでいるエリアの近く、また、生まれ故郷など関係深い場所の「数字」を眺めると、「上がっているじゃないか」「こんなに低い(安い)のか」など呟いてしまう。今年も地価公示が公表されたが、リーマンショック以降、徐々にではあるが全体的な回復基調にある日本の状況を示す数字が並んだ。

 ▼回復基調は歓迎すべきことだが、「二極化」や「格差」といった状況が表れていることも忘れてはならない。「都市と地方」といった表現だとそれほどの実感は湧かないが、人の世界でいえば「貧富の差」といったことになる。日本の良好な治安は、貧富の差が諸外国と比べてそれほど大きくないといったことも影響しているはずだ。今後、その差が広がることになれば、「安心・安全」といった日本ブランドが維持できるのか心配になる。

 ▼先日、生まれ故郷に住む兄が出張で上京し、久し振りに2人で酒を酌み交わした。「東京の人の多さに酔う」と苦笑いしていたが、酒の〝肴〟は実家や両親など自然と故郷の話題が中心となる。

 ▼東京と比べると、地価の数字はまさしく「0」が1つ少ない。それでも、元気に生き生きと話す兄の姿を見ると、「都市と地方の格差」は、「人の暮らし」という観点だと、地価とは逆の状況なのではないか。年上の兄より〝疲れた姿〟の自分を見て、そう感じた。