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大言小語 謙虚さとは

 野球ファンにとって、楽しみな季節がやってきた。3月20日から始まる春のセンバツ高校野球。勝手にランク付けし優勝校の予想などをしているが、生まれ故郷のチームが出ていればついつい贔屓目に評価してしまう。

 ▼30年ほど前、同じ甲子園のグラウンドで彼は眩いばかりに輝いていた。清原和博。野球ファンでなくとも、その怪物ぶりは分かる。野球少年には憧れの的だった。清原のようになりたいと、小生もバットを振り続けた。まさしく、神様のような存在だった。

 ▼彼に何があったのかは詳しく知らない。「寂しかった」と振り返っているが、そんなことで覚せい剤に手を出すなんて、愚か過ぎる。高校時代をすべて甲子園で過ごし、そしてその後のプロでの活躍。天賦の才能があったとはいえ、強靭な精神力があったからこそ成し遂げられたことに違いない。そんな精神力の持ち主が、本当に「寂しいから」といった理由で覚せい剤に逃げたとすれば、あまりにも悲しい。

 ▼周りの人から注意や叱られることがほとんどなかったのだと思う。スーパースターだけに、何をしても大概のことは許されたか。それだけに、自分を律する謙虚さが求められたのだろうが、それが欠けていたか。人が成長するために必要なのは謙虚さだ。謙虚さとは、自分の「心の声」に素直になること。善しあしの判断は、心の声が既に決めている。その声に耳を傾け、従うことだ。