総合

大言小語 地方活性化の主役は

 地方創生という掛け声とは裏腹に、地方都市が退潮傾向から抜け出せていない。15年都道府県地価調査でもそれが表れ、三大都市圏と札幌、仙台、広島、福岡などの一部で回復傾向が継続したが、大方の道府県や地方都市ではなお下落傾向という結果となった。既に下落続き20年余。未だに下げ止まりの材料が見出ないままだ。

 ▼本紙で連載中の日本不動産研究所「地価で見る全国の都市」。県庁所在都市などの住宅・不動産を中心とした経済の動きを紹介しているが、再開発事業や活性化策など明るい題材がある都市は多くなく、むしろ百貨店などの撤退や旧市街地の空洞化など、難題を抱え試行錯誤している都市がほとんどであることが浮き彫りになっている。

 ▼東日本大震災の後、南海トラフ地震の津波被害が想定された太平洋沿岸は地価がいち早く下がった。特に被害経験のある高知県は著しく、地元でも対策に苦慮していること。また、全国的に成功事例として知られる高松丸亀町商店街も計画の全地区で再開発が行われたわけではなく、それを補完する活性化策が進められていることも分かった。

 ▼地方のことは地方の人たちで解決するしかないことをこれらの事例は教えてくれる。地方には危機感と人材、知恵もあるが財源や推進力が足りない。その主役をバックアップすることこそ、政治や中央省庁が果たす役割である。