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大言小語 過ぎたるはなお

 「外国人が見た日本の凄さ」というようなテレビ番組が最近流行っている。日本人が行かないような所や普通の街の情景が外国人に人気ということで、東京・江戸川にある盆栽館や渋谷のスクランブル交差点などが登場。日本では、混んだ電車も列を作って待つ、すごい光景、などと礼賛が続く。

 ▼新聞のテレビ欄を調べると、こうした日本バンザイ番組が数多くある。見始めのときは、「さすがに日本だ」などと感心するが、そのうち、「こんなに素晴らしいのに自ら主張しない、謙虚な日本」などと言われると、謙虚なんだか、自意識過剰なんだか分からなくなる。そんなに良い日本がどうして「失われた20年」になったのだろう。

 ▼小子は最近、金沢に行き、兼六園や21世紀美術館といった大勢で賑わう場所以外に、仏教家として有名な鈴木大拙の足跡を伝える鈴木大拙館に足を運んだ。全体の来客は多くないものの、外国人の比率が7割を超えるほどで、閲覧コーナーでは英訳・独訳された書を熱心に読んでいた。日本人は庭の写真を撮るばかりだった。

 ▼「日本は他国とは異なった文化と歴史があり、日本人だけが理解できる」という解釈もある。しかし、古くは小泉八雲という、日本人よりも日本の民俗に詳しい人もいた。そんなに日本、日本と騒がず、訪れる外国の方に、等身大の国柄と自分自身を見せればいいのではないか。