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大言小語 生前の予約と備え

 高齢社会を迎え、何事も生前予約が流行の兆しを見せている。遺族に迷惑をかけない配慮であると共に、自分らしい最期の希望をかなえるものでもある。

 ▼最期は避けて通れないのに、これまでは関連分野でも敬遠されがちだった。サービス付き高齢者向け住宅もそうだ。数年前は、まだ介護を必要としない60代の夫婦や軽度の要介護者を主な対象にしたようなイメージだったが、最近は重度の要介護者も積極的に受け入れる住宅に変わりつつある。地域医療と介護の連携が進み、「看取り」と「葬式」をサ高住の自宅で行うことも当たり前になりつつある。

 ▼日比谷花壇が事業主として10月に東京・西新井に開設するサ高住もその一つ。同社の「花を介して地域社会の課題解決に貢献するビジネス」を推進する施設でもある。同社が提供する葬式サービス(樹木葬)は年間500件というが、その7割が生前予約である。サ高住でも「フラワーベッド」と名付けた居室でのお別れプランを提案する。

 ▼その前の「生前整理」も増えている。遺品整理士認定協会によると、その数は遺品整理全体の2割程度を占める。「離れて暮らす娘に迷惑をかけたくない」「老人ホームに入るので」「認知症になる前に」という早めの依頼である。生前の墓地購入や戒名・法名の取得もある。備えあれば憂いなし。だが、最も大事なことは、それを家族に、確実に伝えておくことである。