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大言小語 国際空港とアクセス

 JR東日本が東京都心と結ぶ「羽田空港アクセス線構想」を打ち出した。既存貨物線を活用し、東京貨物ターミナル駅を経由して羽田空港へ直結する地下鉄道を掘削する。東京、新宿、新木場駅からの3ルートを整備。五輪に合わせ新木場ルートを先行させる。全体開通は20年代半ばを目指し、総事業費は約3200億円という。

 ▼更に、傘下の東京モノレールを浜松町駅から東京駅まで延伸する構想も明らかになった。羽田へのアクセス強化は結構だが、そこまで集中投資する価値はあるのか、元は取れるのだろうか。混雑や安全対策など優先すべき課題があるのではないか。利用者からすると、羽田への幹線鉄道としては京急線ルートが便利だし、高架化して輸送能力が格段に高まった。加えて、これは都営地下鉄・京成と相互乗り入れし、成田と羽田の両国際空港を結ぶ唯一の鉄道である。もっと便利にと思う人は少なくないはずだ。

 ▼成田は、国際空港の金看板であり、重要な役割を担いながら、今や人気の主役を新興の羽田に奪われつつある。航空会社の成田撤退や羽田シフトなどの動きもある。だが、成田がなくては、首都圏の国際航空便は確保できない。

 ▼「混雑する羽田より、ゆったりした成田のほうが快適だ」という人たちも増えてきた。経済活性化や防災、危機管理面からも2つの国際空港をバランスよく使う必要がある。何事も集中させ過ぎるのは賢くない。