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大言小語 若手を育てる海外研修

 人材の確保と育成は、企業が成長するための共通テーマだが、マンション管理業の場合、これに「定着してもらう」が加わる。営業第一線の顧客は管理組合。多種多様な人間で構成される、複雑で手ごわい集団である。もちろん常識的で協力的な人が圧倒的に多いが、中には無理難題を押し付けてくる人もいる。

 ▼その対応で精神的なストレスや疲労が蓄積されやすいことが、定着率を他産業より低くしている。更に管理組合の理事会や総会で土日が休めない勤務体制もある。その結果、人材不足が半ば常態化している。「乗り越えれば鍛えられた逞しい人材になるのだが、残念ながら、その前に挫けてしまう人が圧倒的に多い」(上位企業社長)。そのため各社とも業務支援体制の整備に取り組んでいるが、まだ、大きな成果が上がったとは言い切れないのが実情だ。

 ▼そんな中、マンション管理業協会が12月、初めて若手社員を対象にした海外研修を実施する。台湾の実態を「3泊4日」で視察する。1社1人限定の計40人で編成、費用は一人20万円程度だ。山根弘美理事長はその狙いを、(1)多くの企業から参加してもらい(2)成長するアジアで新しいビジネスの可能性を探り(3)企業の枠を超えて業界の将来を考えてもらう―ことという。業界団体としての新たな人材育成への取り組みである。近い将来、その中から業界を背負うリーダーが何人も現れるに違いない。