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大言小語 オオカミ少年を許せるか

 今年の梅雨は変だ。北海道では、猛暑日になったかと思ったら、梅雨がないはずなのに長雨となった。全国各地で、6月1月分の雨量が一日で降ったこともあった。関東では、雹(ひょう)が降り、まるで、今年2月の降雪かと思わせる風景まで作った。しかも、それがごく限られた地域で起こり、空を見ても、側では晴れていいるのに、こちらは豪雨ということも。

 ▼「ゲリラ豪雨」という言葉が流行語大賞になったのは6年前の08年だとか。当時は、ゲリラという語感に違和感を覚える人も多かったが、すっかり定着した。それだけ異常気象が日常化したということだろう。もちろん、国も対策を進めていて、今後、土砂災害情報や大雨警報などを出したり、避難を呼びかけることなどを時系列的に定める「タイムライン」を策定していく。

 ▼ただ、災害弱者と呼ばれる、お年寄りなどの場合、警報を早めに出しても、移動が大変で、避難所に集まらないという。国では、「オオカミ少年を恐れずに警報を出す」とし、空振りに終わっても、避難を優先する考えだ。ここが難しい。健常者であっても、なかなか避難所に行くのは遅れがちだ。家を守るという考えもある。移動するたびに足が痛むというような人をどうスムーズに避難させるか。机上の計画だけでない、日頃からの自然の脅威に対する畏(おそ)れと助けあうコミュニティの醸成がそこには不可欠だろう。