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大言小語 「取引士」が定着すれば

 仕事の第一義は生活の糧を得ることである。そして、「人の役に立っている」実感があれば、やりがいにつながる。さらに踏み込んで「人を助ける」ことができるなら、最高の喜びだ。医師や弁護士の社会的ステータスが高いのはそのためであろう。

 ▼もちろん、病気や法的トラブルから救い出すことだけが人を助けることではない。来年から相続税が強化され、地主などの資産家だけでなく、一部のサラリーマン層にも課税対象が広がる。資産家にとっては死活問題となるし、サラリーマンもこれからは貯蓄だけでなく、相続対策や資産設計をしなければ老後を乗りきることができない。不動産投資を始める人も増えるだろう。相続コンサルティングや投資コンシェルジュなど命の次に大切な資産形成の手助けがこれからの不動産会社にとっては新しい仕事となっていく。

 ▼宅地建物取引主任者の名称が宅地建物取引士に変更され、社会的信頼向上に努める規定などが盛り込まれることになった。来年4月から施行される見込みだ。「主任者」と「取引士」では国民の受けるイメージは、かなり異なる。前者は企業の一従業員に過ぎないが、後者には〝独立〟した雰囲気が漂う。

 ▼信頼の源泉は突き詰めれば「人の品格」である。新しい名称が定着することで、不動産業という仕事に対する国民の信頼が一気に向上することを期待する。