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大言小語 高齢社会とマンション活用

 人口の4分の1が65歳以上になったという総務省調査に続き、分譲マンション入居者世帯主の半数が60歳以上になったとする、5年ごとの国土交通省マンション総合調査が発表された。人口より高齢化が速く見えるのは積極的な選択が増えているためではなかろうか。

 ▼郊外の一戸建てを子供に譲ったり、売却して駅前マンションに住み替える動きが目立ち始めたのは5年以上も前。実際、子育て層を照準に郊外型物件を販売したら、シニア層が半数を占めた事例もあった。マンションは今やバリアフリー設計に加え24時間体制の管理システム、警備会社や医療機関との連携体制。更に管理会社の生活支援サービスも充実してきた。

 ▼名古屋市の宝コミュニティサービスは管理受託する賃貸住宅で「タクシーコール付き安否確認サービス」(月額2700円)の導入を始めた。敬遠されがちな高齢単身者の住居確保とオーナーの空室対策の2つを狙った。70歳以上の人には入居条件としたが、親族からの評判はいい。いずれ分譲マンションの管理組合にも提案していく。

 ▼このように、マンションは優れて高齢者住宅向きである。集合の利があるからこそ実現できるサービスや交流形態は幾つもある。そこを核に周囲に広げていくことも可能だ。防災面だけでなく、高齢化対策分野でも利用価値は大いにありそうだ。もっと知恵を出して活用しよう。