政策

大言小語 まだある不発弾

 関東大震災に大空襲。100年に満たない期間に、東京は未曽有の大災害・大惨事を経験した。大水害にも度々襲われ、人工の荒川放水路も昭和初期にでき上がった。最近は、東日本大震災以来、幸い大きな災害には遭遇していないが、それは、たまたまの幸運と言うべきだろう。

 ▼3.11で東京のビルや住宅はもちろん、道路、橋梁、堤防に上下水道などのインフラ設備まで、ありとあらゆるものが大揺れに揺れた。程度の差はあるが、老朽化した建物や液状化被害に遭ったものの多くは相当なダメージを負った。道路の掘り起こしやビルの取り壊しが未だに目立つことに表れている。これは大自然が教える都市の現状の危うさである。

 ▼地球温暖化の影響で雨の降り方も想定を超える。鉄橋や河川堤防の点検・補強改修工事も喫緊の課題となった。そんな折、東京都北区の改修作業現場から不発弾が発見された。大動脈・JR東北線荒川鉄橋のすぐ隣。紛れもない戦争の落とし物である。不発弾はこれまでも工事現場などから幾つも発見されてきたが、まだ終わってはいないことを示している。

 ▼不発弾処理の実施は11月17日。警戒区域内の住民は区域外への避難(外出)が要請されている。区職員による家庭訪問が行われ、小学校が避難所に当てられた。一夜にして10万人以上が焼死した大空襲の凄まじさ、戦争の爪痕である。忘れてはならないことを改めて教えている。