IOCロゲ会長(当時)の「TOKYO」という、やや素っ気ない声も日本の人々を歓喜させるには十分だった。2020オリンピック・パラリンピックは東京で行われる。まずは、しっかりとした準備を官民一体となって進めることだ。
▼一方で、心から喜べない人がいることも事実だ。やはり、東京電力福島第一原発の事故がその理由だ。事故から2年半たっても汚染水問題など難題が山積している。安倍首相は誘致のプレゼンテーションで、歌舞伎の大看板よろしく『大見得』を切ったが、後で部下からその真意を説明してもらうようでは、大看板とは言えまい。招致委竹田理事長の「福島から東京は250kmも離れている」と繰り返す言葉は被災者には身を切られるように辛い。
▼とはいえ、やはりオリンピックは国を元気にする。先週、太田国交大臣や事務方幹部は「パラリンピックも忘れないで。これを行う都市は当然バリアフリーでなければならない。7年後バリアフリー先進都市東京を見せよう」と話した。世界から目標となる意気込みだ。
▼また、日程にも魅かれる。7月24日から8月9日と猛暑の東京開催を心配するのは確かに分かるが、この中には広島と長崎の原爆忌がある。平和式典や黙祷を行っている中、東京五輪ではどう対応するか、世界はどう思うのか。そういう見方も五輪の楽しみだ。