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大言小語 異常が異常でなくなる日

 温度計が示した値は、41.0度||。8月12日、史上最も高い気温を検出したのは高知県四万十市江川崎。これまであまり暑い地点として名前が上がらなかったところだ。一部では、観測機器に草が絡まって異常値が出たのではとの〝観測〟も出たが、内陸で空気が淀みがちなところにフェーン現象で温度が急激に上がっていったようだ。

 ▼この最高気温争いの喧噪で、四万十市では町おこしの材料にしたいという意見が出た。これまで一位だった岐阜・多治見市では「また奪還を」の声も。しかし、その間にも環境は蝕(むしば)まれていく。四万十市では、有名な鮎の漁獲量が減ったという。清流として名高い象徴を失って、町おこしができるのだろうか。

 ▼その前日の11日には、東京都で最低気温が30度を切らなかったという史上初の記録が出た。ここまで来ると、異常気象という言葉では表現できない、「極端気象」という造語まで出ている。しかし、異常が異常ではなくなったように、極端が極端でなくなる日も近い。

 ▼東京の80年代の平均気温と現在では3度違うが、ニューヨークやパリでは2度くらいらしい。日本でなぜこれほど極端になっているのか。24時間営業、全国を網羅する輸送システムなど、便利になっていることが実は弊害にもなっているという点など、考え、行動するには遅すぎではない。