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大言小語 参院選、もうひとつの争点

 猛烈な暑さが続いた7月、それ以上に熱い戦いが繰り広げられた参院選挙が幕を閉じた。解禁されたインターネットによる選挙運動をはじめ話題や焦点に事欠かない選挙戦だったが、中でも争点となったのはデフレ脱却、景気回復を掲げた安倍政権が取り組むアベノミクスの今後の行方だっただろう。

 ▼最重要政策とするアベノミクスを旗印に政権与党の声が高まれば、野党からの批判もこれに集中した。その答えは選挙後にゆだねられるが、結果的にアベノミクスの渦に飲み込まれてしまった野党が批判を重ねるほど敵に塩を送ることになった感も否めない。それ以上に争点となってもらいたかったのが、参議院そのものの存在意義だ。政党色が強まる近年の政治体制の中で、より中立、公平で偏りのない議論がなされるべき参議院本来の姿からかけ離れた存在になっていることに対する有権者の不満の声でもあったはずだが、これに対する当事者からの真摯な答えは皆無に等しかったのではないだろうか。

 ▼選挙戦前からも、過去の参院の変遷を知る年配の有権者層からは、「良識の府」なる言葉がたびたび聞かれたし、若い世代の間でも自民圧勝の風吹く中でその一人勝ちを懸念する声も日増しに高まっていったように感じる。有権者の関心が高まっていただけに、一歩踏み込んだ姿勢を各党には示してもらいたかった。