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大言小語 後継者を育てる

 宅地建物取引業者数の減少傾向が続いている。91年の14万4064社をピークに減り始め、13年3月末現在は12万2703業者と、2万1000社余も減少した。新規参入が活発な業界だから減少しているイメージはあまり浮かばないが、宅建業にも「失われた20年」があったことを示しているようだ。

 ▼廃業の理由は何か。今年度から会員数の漸減傾向に歯止めを掛けるため、人材教育などの会員支援策を本格化させいるのが全国宅地建物取引業協会連合会。長引く不況に伴う経営難よりも、会員自身の高齢化や後継者不足によるものが大半という。「70歳前後での免許更新を迎えたとき、廃業するパターンが多い」そうだ。会員の平均年齢は現在60歳。新規加入者は多いのに会員数が減少するジレンマがある。伊藤博会長は、それを解く鍵は「いかに長く仕事を続けてもらえるようにするか」であり、「後継者を育ててもらう」ことだ指摘する。

 ▼今、各産業分野で国際化や大手による寡占化傾向の動きが強まっている。その中で中小企業や商店街などは苦戦を強いられている。不動産業も例外ではないが、不動産業は地域産業でもある。伊藤会長が中小不動産業の生き残り策として挙げるのは「地域に貢献し、地域から信頼を得ること」だ。それは地域に根差し、地域に活力を与える存在になることである。魅力ある産業として再び勢いを取り戻すことができるか。これからが正念場である。