住宅を現金で購入する人に、給付金を支給することが検討されている。住宅・不動産業界も要求していることだが、ややもすると金持ち優遇とか、参議院議員選挙を控え、バラマキと批判されかねない政策であり、現金に飛びつくのは再考したい。
4人に1人が現金購入
来年4月からの消費税引き上げにあたっては、金額が大きな住宅は消費者にとって極めて影響が大きい。そこで住宅ローン減税を拡充することで、引き上げ前の駆け込みを抑えることにしている。居住が来年3月末までであれば、最高200万円のローン控除だが、これが来年4月以降平成29年末までの居住ならば最高400万円に引き上げられる。
しかし、これだけだとローンをまったく使わずに、現金で購入する人には減税の恩恵を受けることがなく、駆け込みにつながる恐れがある。
国土交通省によると、現金で住宅を購入する人が26.5%に達している。実に4人に1人は、ローンを組まずに買っていることになる。これらの人たちに恩恵がなければ、消費税引き上げ前に購入しようとするのは、当然の経済行為であるが、引き上げ後に反動が出れば、住宅市場の混乱につながり好ましくない。
検討されている給付金は、消費増税分の3%に当たる額が有力で、仮に2000万円の建物代金であれば上限が60万円になる。また収入に応じて、支給額を変える案もあるが、収入を把握するのは困難である他、現役を退いた高齢者の場合、金融資産はあっても安定した収入はない人がほとんどで、こうした人たちにどう手当てするかは設計が難しい。
10年有効のポイントを
現金で住宅を購入するような恵まれた層であれば、現金給付をしても、それが消費に回るというより、そのまま預貯金にまわる可能性もある。景気を良くするために、消費を促すという観点から考えるのであれば、エコポイントなどで消費をしてもらう方が理にかなっている。既に実施されている復興支援エコポイントにつなげればなおいいだろう。
なだらかな経済浮揚効果を目指すならば、ポイントの交換期限を延ばしてはどうか。住宅ローン控除が10年であることを考慮しても、新たに10年といった長期間適用になる復興支援エコポイントを創設すれば、いつ住宅を購入しても当面は同じ効果が得られ、段階的な消費税引き上げの駆け込み対策として有効な手立てになる。折しも現在の復興支援エコポイントは、平成27年1月末が交換期限になっている。
8%の消費税を避けたい人は、今年9月末までに契約するか来年3月末までに入居すればいいので、国の政策がどう決まるかを待っている。残された時間は少なく、対策を急がなければならない。