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大言小語 時代映す〝宅建業法〟

 宅地建物取引業法が昭和27年に制定されてから60年が過ぎた。その業法60周年の記念フォーラムが都内で開かれ、不動産業にかかわる多くの参加者が一堂に会した。業法は戦後間もない当時の住宅難を克服し、国民に安全な不動産取引を提供するという意図のもと、不動産事業者の強力な後押しを受けて制定され、これまで数次の大幅改正を経て現在に至っている。

 ▼過去の改正を振り返ると、昭和30年代に現在の宅地建物取引主任者制度につながる宅地建物取引員制度と営業保証金制度が導入されたのに続き、それまでの登録制度に代わる免許制度と報酬規定が導入された。高度成長期にあった昭和40年代に入ると、誇大広告の禁止や重要事項説明制度が導入され、安全な取引を目指すと共に消費者保護という姿勢も強く打ち出された。

 ▼バブル期に差し掛かった昭和60年代には、専属専任媒介契約と指定流通機構制度が創設され、現在の不動産流通の骨格が出来上がった。業法がこれまで、時代の変遷と共に住宅・不動産取引の安全を確固たるものにしてきた意義は言うまでもない。

 ▼それを改めて認識するべく開かれた今回のフォーラムが、多くの不動産関係団体や企業の協力のもとで開催に至ったことも意義深い。そして、少子高齢化やグローバル化といったうねりの中で転換期にある不動産業のこれからの役割を考えさせられる場ともなった。