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大言小語 機械式駐車場問題

 「機械式駐車場をどうするか。数年前から急に増えてきた悩ましい問題です」。マンション管理会社幹部の話だ。10年ほど前までは、マンションの駐車場不足が深刻で、付置義務を課した自治体があったほどだが、それが今は大きく様変わり。逆に〝駐車場余り〟の対応に苦慮する管理組合が続出する事態になってしまっているのだ。

 ▼都内城北地区のマンション管理組合は12月に臨時総会を開き、機械式駐車場(36台分)の埋め戻しを決めた。約160戸のマンションに機械式を中心に全体で9割ほどの充足率だったが、高齢化などで空きは徐々に増えて30数台になっていた。決断の背景にあるのは、機械式駐車場の維持管理コストがかかること。エレベーターと共にマンションでは「金食い虫」といわれる施設である。

 ▼維持管理費だけでなく、いずれ施設の更新時期が来る。利用者が増えても、当面は平置き施設にして対応できる。また、駐車場台数を減らすことで修繕積立金計画に狂いが生じるが、管理組合では今取り組むなら、機械駐車場を全部維持するより差し引きで、コストはむしろ下がると弾いた。放っておくと2度目、3度目の大規模修繕に差し障りが出るとの危機感もあった。

 ▼時の経過と共に取り巻く環境は変わる。長期修繕計画は管理組合を運営するベースである。だが、それに縛られるのではなく、変化に対応しながら、柔軟に軌道修正していく知恵を持ちたい。