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大言小語 活性化のヒント

 「最初はあまりいいネーミングではないと思ったが、せっかくだから商店街も本腰を入れて中高年客の居場所づくりに取り組んだ」。東京・巣鴨の巣鴨地蔵通り商店街を一躍有名にさせた転機だった。商店街振興組合理事長の木崎茂雄さんはそう振り返る。85年に「おばあちゃんの原宿」と読売新聞記者が名付けた時のことだ。「とげぬき地蔵・高岩寺」を中心とした門前商店街で中高年客が対象ではあるが、それを受け入れて覚悟は固まった。

 ▼モンスラや赤パンツなど独自のヒット商品が生まれ、活気のある商店街としての地位も確立した。中高年層を対象にする以上、ポスターや看板、チラシなどの印刷物など商店街から英語やカタカナを取り除いて、漢字と平仮名に統一した。また、ベンチを設置したり、トイレが利用できるように商店に働きかけるなど、中高年客にとって居心地のいいまちづくりを徹底した。電柱と電線のある昭和の風景もそのまま残した。「昭和レトロ」ブームのはしりにもなった。

 ▼中高年層は「輝いていた時代」、若かった頃に思い入れがある。「商店街もその時代に合わせた『しつらい』が必要」という木崎さんは69歳。アメリカンポップスで育ち、学生時代はビートルズだった。「音楽を聞くと自然とリズムをとってしまう」元気な世代だが、その世代が馴染める商店街に変えていくことが当面の課題だという。そこに活性化のヒントがありそうだ。