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大言小語 大地震への備え

 発生確率は低いものの最悪の場合、死者は約32万人という衝撃的な被害想定が8月29日、政府の中央防災会議から出された。南海トラフでマグニチュード9.1という巨大地震が発生したという想定だ。最大の被害をもたらすのは津波。関東以西の太平洋沿岸域は軒並み大津波に襲われ、発生直後から最大34メートルもの大津波が到達するというから、沿岸部では逃げるしか手立てはない。その時のために揺るぎない心の準備と、高台へ逃げる道の確保などが急がれる。

 ▼「想定外を想定した」ものだが、太平洋ベルト地帯と呼ばれる経済産業の中枢が壊滅的な打撃を受けるなど、その中身は我が国を震撼させる。大地震の被害を少しでも小さく、減らす方法はないのか。被災者の救助・救援態勢は整っているか。一時避難場所と住居の確保はできるか。更に、瓦礫の処理と早期の復旧復興体制は。その時は東京も大阪も相当な被害を受ける|と思いを巡らすと、実は今、その状況の真っただ中にいることに気付かされる。

 ▼東日本大震災から1年半。津波被害エリアは原発事故がたたって瓦礫処理は進まず、高台移転も計画途上で槌の音も聞こえない。福島県では約10数万人が避難生活を強いられている。この現状を打開し被災者に希望を与えることができるのか。直面する課題、東北から関東にかけての被災地の復興を果たすことこそが、来るべき大地震への大きな備えであると思い至る。