総合

大言小語 尊い平和

 ロンドンオリンピックが17日間にわたる熱戦の幕を閉じた。日本は、過去最多となる38個のメダルを獲得したほか、日本の女性アスリートたちの活躍も光り、明るい話題を届けてくれた。その五輪開催期間中に、韓国大統領による竹島上陸、その直後には香港の活動家による沖縄・尖閣諸島への上陸と、平和を揺るがす事件が相次いだ。

 ▼竹島問題では、五輪憲章に反するとして、サッカーの3位決定戦を日本と戦った韓国チームの男子選手がメダルお預けになる後味の悪い失態も招いた。これに先立つこと、東南アジア諸国も中国との間でたびたび領土問題の衝突が起きている。五輪、領土問題、終戦記念日と重なり、もろい国際関係の上に尊い平和が成り立っていることを痛感させられる出来事だった。

 ▼敗戦国となった日本は終戦を節目として、国民の価値観も様変わりし、今日まで新たな平和国家としての道を歩んできた。恒久的な世界平和と不戦を唱える日本の姿勢は大いに胸をはりたい。しかし、世界、とりわけ他のアジア諸国は、日本のように敗戦という節目がないままに今日に至っている。戦後67年経った今もなお、戦前、戦中からの時間が引き続いているといってよい。周辺諸国も平和を望んでいることは当然だが、その手段を含めれば日本と同じ価値観を共有しているとは限らない。一方的な解釈よりもやはり必要なのは話し合いか。